■『海のはくぶつかん』1994年1月号

大きなアオブダイ(あれこれ)

 舟尾 隆 

写真  当館に久しぶりに大きなアオブダイが搬入されました。アオブダイはブダイの仲間ではもっとも北にまで生息している種類のひとつで、駿河湾でもみることができます。
 いつも搬入されるアオブダイは全長20cm程度なのですが、今回搬入されたのは全長が40cm以上もあり、大きいものでは全長約70cm、体重約9kgもあります。この大きなアオブダイは、毎年マグロの仲間を採集している鹿児島県笠沙町の漁師さんにお願いして、特別に採集してもらい、マグロといっしょに活魚運搬船に乗せて運んできました。
 アオブダイは、胸びれをパタパタとあおるようにして泳ぎ、全身が真っ青で、頭の先端が出っ張り、歯も鳥のくちばしのように出っ張っています。そのため、英名ではブルーパロットフィッシュ(青いオウムのような魚)と呼ばれています。この魚がオウムのように見えるのは、中国でもフランスでもドイツでも同様で、やはり、「青いオウムのような魚」と呼ばれています。
 ブダイの仲間は体からでる粘膜で自分専用の寝袋を作り、その中で夜眠ることが知られています。寝袋の中は海水が流れるようになっていて、朝起きるとそこからでてくるのです。
 水槽内のアオブダイはまだ寝袋を作って寝ていませんが、その行動がみられたら本誌でまた、お知らせします。


『海のはくぶつかん』Vol.24, No.1, p.7(下) (所属・肩書は発行当時のもの)
  ふなお たかし:学芸文化室水族課

最終更新日:1997-03-05(水)
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