■『海のはくぶつかん』1993年1月号

秋篠宮ご夫妻ご来訪

 去る12月7日、秋篠宮ご夫妻が清水市にお越しになり、海洋科学博物館をご訪問されました。同日午前10時27分着の新幹線で静岡駅にご到着され、11時ちょうどに当博物館にお着きになりました。
 秋篠宮殿下は日本動物園水族館協会総裁でもあり、当博物館へのご訪問を希望されていましたが、清水市の造船所で建造された東南アジア漁業開発センターの訓練船進水式に出席することになり、当博物館のご視察が実現することになりました。当博物館には、これまでに、生物学をご専攻された昭和天皇や現天皇もご来館されています。
 両殿下は、水族館、マリンサイエンスホール、メクアリウム(機械水族館)の順に、館内をご見学されました。ご案内役の小坂館長らの説明にご熱心に耳を傾けられ、ご視察は1時間30分にもおよびました。すでに、十万人以上が入場し、会期を延長して開催中のズームアップ水族館では、ご自分で操作レバーを握られ、生物をそれぞれ拡大してご覧になられました。
 ユメカサゴの水槽の前では、目玉がまるで夢を見ているような目にも見えるようですが、そのことが名前の由来になったのですかとおたずねになったり、魚名の由来について特にご興味をしめされました。また、水槽の中に現天皇のご研究されているハゼの仲間のキイロサンゴハゼを見られると、大変きれいですねと楽しく語られました。
 生きた化石として知られるラブカの展示室では、子供が母親の体内で卵黄を吸収しながら育つ胎児の標本をご覧になり、胎児の卵黄がすっかりなくたったところで体外に出るのですねとご確認されたりと、その生活史に大変興味を示されました。
 暗闇で発光することで知られるマツカサウオの水槽の前では殿下自らが紀子さまにこの魚は光るんですよと逆にご説明される場面もあり、仲むつまじい様子もうかがえました。
 また、水槽の裏側もご覧になられ、イワシの水槽ではご夫妻でエサをお与えになりました。マリンサイエンスホールでは、深度ごとにつぶれ方が変化するカップめんの容器をご覧になり、その水圧のすごさをあらためてご認識されていました。
 今年、世界に先駆けて導入した3Dハイビジョンシアターでは、頭上まで飛び出してくるマンタの映像をお楽しみになるなど、時間の経つのも忘れるほど、館内を熱心に見て回られ、係員が時間の調整に慌ただしくしていましたが、予定時間を超えて午後1時に、多くの人のお見送りする中、当博物館をあとにされました。


『海のはくぶつかん』Vol.23, No.1, p.6 (所属・肩書は発行当時のもの)
  しばた かつしげ:総合業務室企画広報課

最終更新日:1997-04-19(土)
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