ウバザメ解剖注意!一部凄惨な写真があります。心臓の悪い方などご遠慮ください。
Cetorhinus maximus。 全長8640cm、体重4600kgの雄。現在、アクアワールド大洗水族館にて剥製展示中。ウバザメは非常にゆっくりと遊泳しているため捕獲が容易で、肝臓やフカヒレなどが比較的高値で取引されるため、乱獲状態にあった。このため、ワシントン条約のカテゴリーUに記載され、国際的な商取引が規制されている。日本でこれだけ大きな個体が出現する事は非常に希。
 サメ類は多くの硬骨魚類と異なり、雌雄の判別が容易である。雄には交接器(clasper)と呼ばれる器官が腹鰭部分に左右1対付いている(1-4、16-3〜17-1)。交接器は出生前から形成されており、体内や卵内でもすでに性決定している。交接器は性成熟前に急激に伸張し、内部に骨が形成される。完全に骨化すると伸張は鈍化し性成熟に達する。このため、交接器の硬さにより性成熟を判別できる。
 本種は非常に大きな口(写真1行2列目1-2、17-3〜17-5)と鰓孔(さいこう)を持ち(4-4)、口を開けながら泳ぐことにより、海水を通しながらプランクトンを濾しとって餌としている(胃内容物:甲殻類:14-2〜15-3)。このようにジンベイザメやメガマウスの様にプランクトン食性であるため、歯は非常に小さい(5-1)。
 サメ類は体重に対し非常に大型で脂質に富む肝臓をもつ。サメ類は硬骨魚類と異なり、うきぶくろがなく肝臓の脂質により浮力調節を行っているとされている。ウバザメでも大型で脂質に富む肝臓が確認された(12-4〜13-2)。今後は肝臓内の汚染物質の蓄積について分析する予定である。
 サメ類の吻には電気刺激を受容するロレンチニ氏瓶と呼ばれる感覚器を持っている。本種の吻にもひげ剃り後のようなロレンチニ氏瓶が観察できる(7-5〜8-3)。
 
 以下、詳細な解説は東海大学海洋学部海洋生物学科へ
 




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