博物館は移動しました。このページは過去の展示記録なので、実際には見学できません。

■人の生活と貝


 ここでは人の生活と貝のかかわりについてみてみることにしましょう。

●食用の貝

 昔の人が貝殻を捨てたところが貝塚となって残っているように、今でも貝は重要な食料です。たくさんいて採取しやすく、味も良い貝が、食用になります。食用の貝には、アサリ、ハマグリ、バカガイ(アオヤギ)、マテガイなど干潟でとれる二枚貝や、ダンベイキサゴ、サザエ、バイなどの巻貝などがあり、またマガキやホタテガイ、サルボウガイ(モガイ)、アワビ類など養殖されている貝や、アワビモドキやモエギイガイなど外国から輸入されている貝もあります。

●貝の民芸品や工芸品

 バイに歌口をつけて吹きならし、イタヤガイのふくらんだ殻に柄をつけて貝しゃもじにしたり、ハマグリの貝合わせや殻の内側に絵をかいたり、カメオのように殻に彫刻をしたり、人々は貝殻を使って装飾品や玩具、日用品を作りました。今ではあまり見かけませんが、少し前まではボタンの材料として貝が使われていて、貝の種類によっていろいろと高価なボタンもありました。また、白い碁石も貝殻つくられ、これはハマグリなどの厚い貝殻からつくられます。

●貨幣として使われた貝

 中国の殷(紀元前1100年)時代にはキイロタカラガイが貨幣として使用されていました。中国では秦(紀元前351〜394年)の時代以降は使用されませんでしたが、インドやアフリカなどでは後世まで使用され、パプアニューギニアでは最近まで使用されていて、貝のお金3個で家が建つほどでした。

●貝紫

 シリアツブリポラやツロツブリボラから紫色の染料を採る技術が地中海沿岸、とくに今日のシリアやエジプトなどで発達していました。この染料で染めた衣服はとても手間がかかり立派なことから、皇帝や法王に献上されました。一方、アメリカのインカ族の間でも独自にサラレイシガイ類から染料を採る技術があり、メキシコ人は現在でもこれで染めた布を織っています。日本でも志摩の海女がレイシガイやイボニシで手拭いを染めていたと言われています。

●信仰と貝

 ホラガイは日本最大の巻貝で、山岳仏教の間でこれを吹き鳴らすと悪魔を払うと言われていました。現在でも熊野山や羽黒山などへ詣でる時にこの貝を吹き鳴らします。貝にまつわる多くの伝説や迷信の中から、昔の人がその形からいろいろと想像したことがうかがえます。たとえば、ホネガイやアクキガイなどのとげのある貝は悪魔退散のために家の入口にさし、スイジガイは形が「水」の字に似ていることから火難よけに軒につるしたりしました。


●展示貝類リスト


●世界の貝・日本の貝に戻る
 ●旧常設展紹介へ戻る

最終更新日:2001-11-12(月)
〒424 静岡県清水市三保 2389
     東海大学社会教育センター
        インターネット活用委員会