■静岡県の地形と地質

 静岡県は太平洋に面しています。また富士山や赤石山脈などの高山があるため、気候的にも地形・地質的にも、さらに生物の分布からみても変化に富んでいる県です。このような自然の姿は、静岡県の地形や気候、それと自然のおいたちと深くかかわっています。
 現在の自然環境を知り、さらにそのおいたちを知ることによって、静岡県の自然の姿をもっと深く理解することができます。

●静岡県の地質
 静岡県の地質は東部・中部・西部でそれぞれちがっていて、地域ごとに特徴があります。東部の地域や伊豆半島は、第四紀火山やその下に分布する新第三紀の火山岩が見られます。富士川から安倍川までの間には、新第三紀の火山岩や堆積岩があり、その西の赤石山地や天竜川流域にはそれよりも古い堆積岩や変成岩などが分布します。遠州灘に面した地域には、新第三紀の海の堆積層が分布しています。

●フォッサマグナ
 本州の中央部を南北に分断し、新第三紀に大きく落ち込んだ大地溝帯をフォッサマグナと呼びます。静岡県には、この西のはしの断層である糸魚川−静岡構造線があります。この断層の西側には、その東側よりも古い地層や岩体が分布していて、ちょうど東側の地域が沈んだようになっています。ここには、第四紀のはじめまで海が入りこんでいました。

●静岡県は暖帯から寒帯まで
 静岡県は太平洋に面し、そのうえ富士山や赤石山脈などの高い山があります。低地から高地への地形断面でみると、気候では暖帯、温帯、亜寒帯、寒帯まであり、植生でみるとそれぞれが常緑広葉樹林帯、落葉広葉樹林帯、針葉樹林帯、高山帯にあたります。
 いろいろな自然環境を持つことが、静岡県の自然を豊かなものにしています。

●静岡県のまん中に海があった
 新生代の後期、今から約2000万〜100万年前の中新世から第四紀のはじめころまで、静岡県の中部(ちょうど富士川流域)には海が南北に入りこんでいました。そのため、西から移動してきた植物や動物は海を渡ることができず、東部地域にまで分布を広げることができませんでした。また、第四紀の後半になって海がなくなってからも、東部では火山活動がはじまり、生物の移動のさまたげになりました。このことが静岡県の自然環境をより多様なものにしています。

特別展『静岡県の自然』へ戻る

※このページは1996年10月に実施された特別展『静岡県の自然』の一部です。
最終更新日:1996-11-15(金)
〒424 静岡県清水市三保 2389
     東海大学社会教育センター
        インターネット活用委員会