世界で最初に発見された恐竜の化石は、1820年にイギリスのサセックス州で外科医マルテルによって発見されたイグアノドンの歯だといわれています。
マルテルは化石採集が好きで、往診の時に近くの崖の地層からいろいろな化石をみつけていました。1822年にイギリスのサセックスで、マルテルの奥さんのメアリー・アンが散歩の途中に見たこともない動物の歯を見つけました。
マルテルはこの化石にたいへん興味をいだき、これを友人でもあった地質学原理を著したライエル博士に頼んで、フランスの比較解剖学の祖と言われるキュビエ教授に見てもらいました。しかし、そのころは恐竜という動物の存在が知られていなかったために、何の化石かわかりませんでした。
しかし、彼はあきらめずに彼自身でその化石を調べたところ、現在生きているイグアナの歯とよく似ていたので、「古代の巨大なイグアナの歯(イグアノドン)」として1825年に発表しました。
1824年には、バックランドがメガロサウルスの歯について発表し、このころから恐竜の存在が人々に知られるようになりました。そして、1841年にリチャード・オーエン博士が太古にすんでいた巨大な爬虫類にディノサウルス「恐ろしいトカゲ(恐竜)」という名前をつけて恐竜が注目されはじめました。
恐竜の化石は、南極大陸をのぞく大陸から発見されています。たくさん発見されているところとしては、北アメリカや地中海を中心とするヨーロッパとアフリカ、モンゴルや中国の東アジアです。
北アメリカや地中海地域は、当時浅い海がひろがり、浅い海やそのまわりの平野でたまった地層からおもに恐竜化石が発見されます。東アジアは、当時内陸の盆地に湖がたくさんあり、湖やその周辺の扇状地や砂漠でたまった地層から恐竜化石が発見されます。そのほかには、南アメリカや南アフリカ、マダガスカル、インド、オーストラリアで恐竜化石が発見されています。