■『海のはくぶつかん』1997年11月号

海藻の標本作り(あれこれ)

 佐藤 猛 

海藻標本  海藻の標本といいますと「おしば標本」が最も普通です。おしば標本は、採集した海藻を紙にはさんで乾燥させて作ります(本誌Vol.19,No.1参照)。しかし、この方法だと海藻を押しながら乾燥させてしまうため、どうしても干からびた感じになってしまいます。
 今年の夏に特別展として「海辺に行こう」を開催しました。そのなかで小さな磯のジオラマを作りました。左半分には貝やカニの標本を展示し、右側には水槽をセットして実際に生きた魚や小動物を展示しました。磯には海藻もあるので、最初はおしば標本を展示しようとも思ったのですが、できることなら自然に近いものをと、以前行ったことのあるグリセリンを使った方法で展示することにしました。その時は長さ9mもあるマコンブをグリセリンで処理してラミネート加工をし、現在も展示してあります。
 今回は、比較的小さな海藻なのでグリセリンに浸けたままの状態で展示することにしました。そのほうがより自然に近い形で展示できるからです。
 まず最初に、採集した海藻を水洗いしてホルマリンで固定します。次に、グリセリンを水で溶かして作った30%位のグリセリン溶液につけます。数日後に50%、70%と次第にグリセリンの濃度を濃くし、最後に100%に移して終わりです。おしばと違い自然に近い形で水の中に漂うような感じの海藻標本ができました。


『海のはくぶつかん』Vol.27, No.6, p.7(下) (所属・肩書は発行当時のもの)
  さとう たけし:学芸文化室博物課

最終更新日:1997-11-25(火)
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