■『海のはくぶつかん』1997年7月号
きいろさんごはぜ(あれこれ)
鈴木 宏易
当館では、まず最初に12本の円柱水槽が、みなさんをお迎えしています。これらの水槽では、暖かい海にすむきれいな魚たちを展示しています。その12本のうちの1本に、ハゼの仲間を集めています。
ハゼと聞くと海底で地味な生活をしているあまりパッとしない魚に思われがちですが、暖かい海にすむハゼの仲間には鮮やかで可愛らしい種類がたくさんいます。
キイロサンゴハゼはその名の通り全身が黄色で、全長3.5cmくらいにしかならない小さくて可愛い魚です。海の中では、枝サンゴの間をかくれ家にして生活しています。
しかしその体に似合わず、気の強いところがあります。小さい水槽に何尾か飼っているとそのうちケンカを始め、最後には気の合った2尾だけが残ります。この仲間は、雌から雄、雄から雌へと両方に性を変えることができるので、しばらくすると、水槽の中で産卵するのが見られます。
ハゼの仲間は、適当な場所を見つけたり、作ったりして付着卵という卵を産み付け、たいてい雄親がふ化するまで卵を守ります。キイロサンゴハゼの雄も卵から離れることなく他の魚を追い払い守っています。
卵の大きさは非常に小さく、産まれてくる仔魚を育てることは、今のところできませんが、将来はたくさんの仔魚を育て、どのような兄弟ゲンカをするか見てみたいものです。
『海のはくぶつかん』Vol.27, No.4, p.7(下) (所属・肩書は発行当時のもの)
すずき ひろやす:学芸文化室水族課
最終更新日:1997-08-15(金)
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東海大学社会教育センター
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