■『海のはくぶつかん』1997年1月号

古地図で見る日本(あれこれ)

塩原 美敞 

古地図  16世紀半ばのヨーロッパではフランドル(現在のベルギー、フランス、オランダの各一部を含む地方)の地理学の生みの親であるオルテリウス(1527-1598年)が世界地図を作り上げました。もちろん今のような完全な形の地図ではありませんが、かなり正確に現されていました。この地図上には初めて日本が描かれています。しかしまだその形は整っていなく、楕円状になっているだけでした。その3年後には、日本の形が変わりオルテリウスが描いた日本は凹凸が出来、櫛形に変わって現在の日本を感じさせるものでした。ただ東西方向に延びていてすぐ隣には北アメリカ大陸が位置しているので現在の地図とだいぶ違っています。
 ヨーロッパで最初の日本全土の地図が載せられたのは 1595年版のオルテリウスの地図集でした。
 これは日本の地図を参考にしたこともあって、半島と日本の周囲にある島々、四国や九州がかなり整った形で描かれています(本誌Vol.3, No.4 参照)。1700年代になると日本の地図上に各地方の名前を載せているものも現れました。このような古地図の紹介をいま当館のマリンサイエンスホールの企画展示コーナーで行っています。収蔵していた古地図(複製)を再び皆様にみて頂こうと「古地図の世界に見る日本」として展示を始めました。1500年代から描かれた日本がどの様に形が変わって行くのか、日本が世界の人々からどの様に理解されてきたのかご覧下さい。


『海のはくぶつかん』Vol.27, No.1, p.7(下) (所属・肩書は発行当時のもの)
  しおばら よしひさ:学芸文化室博物課

最終更新日:1997-03-05(水)
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