■『海のはくぶつかん』1997年1月号
ウミシダの展示(あれこれ)
鈴木 宏易
シダと呼ばれる植物をご存じですか?鳥の羽のような葉を持つ原始的な植物です。ウミシダはそのシダ植物に似ていることから名づけられました。
海の中では岩につかまり、羽枝(うし)と呼ばれる腕を目一杯広げ、まるで植物のようですが、実はウニやヒトデ・ナマコと同じ棘皮動物の仲間です。その証拠に何本もある羽枝は、根本にある5本の腕が枝分かれした物で、ヒトデと同じように基本は5本の腕からなっています。
普段は岩の上やすき間で腕を広げ、流れてくる小さい餌をつかまえます。そして腕の表面にある小さな毛を使い、餌を口へと運びます。また、暗くなると腕を動かし泳ぐ種類もいます。
世界では約500種、日本近海では約100種が知られており赤・黄・オレンジなどきれいな種類も少なくありません。海でその姿をよく見かける私たちとしては、是非展示したい動物でした。しかし、その飼育は難しく、展示しても徐々に腕がボロボロになり死んでしまうことがよくありました。
餌の種類や与え方などの工夫を重ねた結果、今では長期飼育の可能性もでてきたため、今年から始めた「駿河湾で見られる棘皮動物」の水槽で飼育展示を始めました。
現在はオオウミシダ・コアシウミシダ・ニッポンウミシダを展示しています。これからも種類数を増やしもっと華やかな水槽にしていきたいと思います。
『海のはくぶつかん』Vol.27, No.1, p.7(上) (所属・肩書は発行当時のもの)
すずき ひろやす:学芸文化室水族課
最終更新日:1997-03-05(水)
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東海大学社会教育センター
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