■『海のはくぶつかん』1997年1月号

実験しよう「メカニマル・ラボ」

 佐藤 猛 

 メクアリウム(機械水族館)には、海の生き物の動きを機械で再現したメカニマル(機械生物)が、現在、39種66点展示されています。メクアリウムはメカニマルなどの動く展示物が多く、もともと参加性のある展示で構成されていますが、昨年のメクアリウム全面改装時に実演解説の中へも見学者を参加できるようにしたりして、さらに参加性の充実を計りました。そのなかには、見学者が手に取って見ることができる模型や補助展示資料などを使って見学者と対話形式をとった「メカニマル・ラボ」の開設(写真1)もあります。
メカニマル・ラボ ステージ

 「メカニマル・ラボ」では、メカニマルについてもう少し詳しく理解していただこうと、動きの仕組みだけを再現した原理モデルなどを使って見学者が実際にモデルを手に取って操作しながら、いろいろな海洋生物の運動機能を解説するようにしました(写真2)。
解説風景
 ここでは、イカ類のジェット推進方法やクラゲの遊泳方法、カシパン類の移動方法(棘による移動)などを図鑑や標本なども利用して説明しています。また、海の生き物のいろいろな動きをビデオ映像で紹介したり、機械生物の動きを作り出す仕組みの一つであるリンク機構の簡単な装置もあります。

説明スタッフ

 皆さん、こんにちは。私たちは「メカニマル・ラボ」の解説員です(写真3)。毎週、土曜日と日曜日はここにあるいろいろな模型を使って、皆さんに実験をしていただくお手伝いをします。ほかのスタッフとともに、よろしくおねがいします。
 それでは、「メカニマル・ラボ」の模型などをいくつかご紹介しましょう。

リンクの構造

カニのはさみを動かしてみよう(写真4)

 二つのハンドルを回すことによって、大きなカニのはさみの開き具合が変わります。ハンドルで開く角度を調節しながら、はさみがうまく閉じるように挑戦してみましょう。
フルエカシパン

「メカニマル・ラボ」の模型たち
[ふるえかしぱん](写真5)

 ウニの仲間は、体にたくさん棘を持っています。そのなかには、タコノマクラやカシパンといった変わった名前のウニもいます。
 そんなウニが動き回る様子を見て作られたのが「ふるえかしぱん」です。平らな体のお腹側には、たくさんの小さな棘が付いています。背中側にはコイルと磁石が付けられていて、電気を通すと振動するように作られています。その振動が棘に伝わり、滑るように前へ進みます。コントローラのレバーを操作すると、前進や回転をします。
イカの推進モデル

[いかくん](写真6)

 イカが泳ぐ特徴の一つに水の噴射があります。イカはお腹の中に水を吸い込んで溜めて、ロートからいきよいよくその水を吐き出して泳ぎます。その泳ぎを再現してみました。
クラゲの推進モデル

[くららちゃん](写真7)

 クラゲはかさを使って、水中をフワリフワリと漂います。そんな優雅な泳ぎを再現してみようということでできました。ただ、この「くららちゃん」は一回しかかさを動かせません。一瞬芸なのでうっかり目をそらしてしまうと見逃してしまうかもしれないので、しっかり見てください。
フウライスカシウオの原理説明

[ふうらいT号](写真8)

 メクアリウムの入口近くにあるフウライスカシウオ。ほかのメカニマルと違って体には何の仕掛けもないように見えますが、動作ボタンを押すと浮き沈みして泳ぎだす不思議なメカニマルです。「ふうらいT号」を使って、この原理を身近に見ていただくことで泳ぐ仕組みの種明かしをします。

解説員から見た見学者


『海のはくぶつかん』Vol.27, No.1, p.2〜3 (所属・肩書は発行当時のもの)
  さとう たけし:学芸文化室博物課

最終更新日:1997-03-05(水)
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     東海大学社会教育センター
        インターネット活用委員会