■『海のはくぶつかん』1996年7月号
ヤツアシカンガエビ(あれこれ)
山本 里香
私たちは昨年から登場したメカニマル「ヤツアシカンガエビ」を1日に6回ご紹介しています。このヤツアシカンガエビは、ほかのものとは違って自分で考えながら行動する、人工知能を持ち、夜行性のエビをモデルにしたメカニマルです。
ステージの照明を暗くし夜にすると、巣穴からエサを求めて、ゾロゾロと出てきます。エサの近くに行ってもお気に入りの物でないと通り過ぎてしまいます。人間と同じように好き嫌いがあるようです。また、エビの天敵であるタコを近づけると、驚いて、まるで腰を抜かしてしまったようになります。そのユーモラスな姿に、見学者から笑いがおこる事もあります。でもタコを離すと立ち上がり、またエサを探しに行きます。その姿を見て、声援を送ってくれる子どもたちもいて、私たちは自分のことのようにうれしく思います。
エサを食べ終わり、ステージを明るくし朝にすると、ヤツアシカンガエビにとっては巣穴に帰る時間です。たいていはおとなしく戻っていきますが、中にはまだ一生懸命エサを探している食いしん坊や、岩にぶつかりなかなか巣穴に戻れないものがいます。こんな姿を見ていると、私たちも皆さんと一緒に応援したくなります。
思いがけない動きを見せるヤツアシカンガエビを、私たちは、ハラハラしながらも楽しくご紹介できるように努めています。是非皆さんも、このユニークな姿を見に来てください。
『海のはくぶつかん』Vol.26, No.4, p.6(下) (所属・肩書は発行当時のもの)
やまもと りか:学芸文化室博物課
最終更新日:1996-07-13(土)
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