地層探査機: 船底に装備された16個の送受波器より超音波を海底に向け放射し、海底の堆積物表面で反射した超音波と、堆積物を貫通し底部地層で反射した超音波の両方を船底送受波器で受信し、10,000mまでの水深と厚さ100mまでの堆積物を計測します(写真1)。
超音波式多層流速計: 超音波のドプラー効果を利用して、航行中の本船から海面下の流速鉛直分布を連続的に測定します。この装置は最深800mまで、最多128層まで流向・流速を測定することができます。
水温・塩分濃度・溶存酸素等計測・ロゼット採水システム: 水温等計測システムは水中センサー部、ケーブル、ウインチ、船上局、コンピューターから構成されています。船上から水中部を降ろして海面から数千メートルの深さまでの水温、塩分、溶存酸素、蛍光光度、水中音速などを計測しリアルタイムで記録します。ロゼット採水システムは24本の採水器配列器に取り付け、水中を降下させ、船上からの指令で採水する装置です。
自動気象観測装置: 船位、風向、気温、湿度、気圧、海面温度、塩分濃度などが自動的に記録されます(写真2)。
科学魚群探知機: この魚群探知機は単に魚影を映し出すのではなく、海中生物の大きさ、群の行動形状、現在量を計算し、水産資源調査に用いられるものです(写真2)。
波浪・船体運動計測装置: 波浪中船体損傷問題研究のため、船体が遭遇する波浪と、船体がうける波浪荷重・船体応力との関連を実船計測する装置です。
観測衛星「ノア」画像受画解析装置・同「ひまわり」画像受画解析装置: 海表面温度、海流、雲の分布、雲の温度、雲頂高度、雲分布アニメーション、画像拡大などにより海洋・気象の解析を行うことができます(写真4)。
この他に船内視聴覚設備等があります。
サーモサリノグラフ: 航海中、船底から海水を汲み上げ、水温・塩分を連続的に測定することができます。
万能投影器: 主にプランクトンを観察するのに用いられ、顕微鏡のように試料の上にガラス板を載せないために、試料の形状を、生かしたままで観察することができます。
オートアナライザー: 海水中の栄養塩、特にリン酸塩−リン、ケイ酸塩−ケイ素、硝酸塩−窒素および亜硝酸塩−窒素の分析を行うことができます。栄養塩は、表層では低濃度ですが、千メートル以深では高濃度になります。
大気/海水炭酸ガス分析装置: 洋上大気中および海水中の二酸化炭素濃度を自動的に測定します(写真5)。
純水製造装置: 本器は、蒸留水や逆浸透水などの純水を原料水とし、無機イオン、有機物、微粒子および微生物をさらに大幅に除去することができます。
クリーンベンチ: 海洋微生物の飼育・繁殖を無菌状態で行うため、菌・カビによる汚染防止をはかり、また培養中の雑菌による事故防止及び菌による死滅防止を目的とする装置です。
エアガン: 高圧の圧縮空気により船尾から水中に曳航したコードの先端の機器から音波を発し、海底及び各地層から反射された音波をハイドロフォーンで受信し、海底地殻構造を調べる装置です。
ヒートフロー: 地球の内部構造を推察するため、深海底における地殻の熱流量(ヒートフロー)を測定する機械です。
プロトン磁力計・三成分磁力計: 海山の地磁気異常と形状の調査に使用する計器で、その海山の磁化状態や海底構造を推察するのに使います。
ピストンコア: 柱状採泥器の一種で、海底の堆積物中に採泥管を押し込み、できるだけ長い試料を採取する採泥器です。
その他、重要な観測機器としては、深海カメラ・海底地震計・アンデラ流速計等がありますが、今回は割愛させていただきます。
これで望星丸の概略についての話は終わります。今度は、皆さんと船上でお会い出来る日を楽しみにしています。(望星丸船長)
『海のはくぶつかん』Vol.26, No.3, p.2〜3 (所属・肩書は発行当時のもの)
あらき なおゆき:望星丸船長