
昨年秋の北東の強い風が数日続いたある日、三保半島の真崎灯台の波打ち際に瑠璃色をした小さな粒が打ち上げられていました。あまり多くて砂利の上に青い筋ができるほどでした。その青い粒はヒメルリガイでした。アサガオガイ科に属するこの仲間は、日本近海では5種が知られています。和名と学名のルリガイVioletta属、ヒメルリガイIodina属、アサガオガイJunthina属、科名アサガオガイ科はいずれもその貝殻や体液の色からつけられたものと思われます。この仲間はいずれも貝には珍しく海面に浮遊して暮らしています。殻はとても薄く、体表から分泌する粘液で空気を包み込んで浮袋にしています。海面でクラゲなどを食べ、卵も浮袋の中に産みつけます。一生涯を暖流の中で浮遊生活を送るのです。貝殻を詳しく観察すると、海面側は色が濃く、下になる側は白っぽくなっています。マグロやサバと同様で外洋の生活に適応しています。

『海のはくぶつかん』Vol.26, No.2, p.7(下) (所属・肩書は発行当時のもの)