■『海のはくぶつかん』1996年3月号

特別展「船と魚の郷土玩具」

岡 有作  

 東海大学海洋科学博物館では、今までにもいろいろな特別展・企画展を実施してきました。その多くは当館の学芸員が企画立案して開催しました。現在準備を進めている特別展は、博物館の外部の方々の協力によるものです。その概要を一部紹介いたしましょう。
 4月21日から5月26日まで、海洋科学博物館2階のマリンサイエンスホール企画展示室で特別展「船と魚の郷土玩具」を開催いたします。鯛車や船や魚型張り子をはじめとして、北から南まで、地域別に100点ほど玩具が展示されます。つくられた時代も江戸時代から平成のものまであります。
 展示する船の玩具のいくつかの例をあげて見ましょう。和歌山県太一の鯨船、沖縄・ハーリー舟、静岡県由比の宝船、神奈川県真鶴の貴船の小早船、茨城県那珂湊の唐桑船車などが予定されています。魚をモチーフにしたものは、代表的な鯛抱き恵比寿(鯛恵比寿)や鯉抱き金太郎(鯉金)を始めとして、新潟県新発田の金魚台輪など、なじみ深いものから、こんなものまであるのかと思うような珍しいものもあります。
船と魚の郷土玩具
 展示期間終わり近くの5月25日と最終日には「日本雪だるまの会」(会長:長谷川英一さん)の30周年記念大会が開催され会員が集まり、持ち寄られた玩具などについて品評や情報の交換が行われます。
 「日本雪だるまの会」とは日本各地の郷土玩具、土人形、こけし、木地玩具、凧、張子人形などの収集や研究をしている愛好家の集まりです。昭和41年に静岡市で発足し、今では全国に200名を越える会員がおられ展示会や出版などで盛んに活動しています。今までにもさまざまなテーマで各地の博物館などで展示会を開催されてきました。
 今回の特別展は展示会場となる東海大学海洋科学博物館のメインテーマにあわせて、船と魚の玩具を選んでいただきました。先日、展示予定の一部の品々を見せていただきましたが、あでやかに、可愛らしく、作った人、遊んだ子供たちの思いが伝わってくるようでした。特別展を楽しみにしてください。


『海のはくぶつかん』Vol.26, No.2, p.6 (所属・肩書は発行当時のもの)
  おか ゆうさく:学芸文化室博物課

最終更新日:1996-05-24(金)
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