■『海のはくぶつかん』1995年5月号

道を知らせるマネキガニ(あれこれ)

石橋 忠信 

写真  私たちの博物館の展示は、大きく分けると1階の水族館部門と2階の博物館部門に分けることができます。ところが、2階を見学されている方に「水族館はどこですか?」とか、1階の玄関付近で「ここで終わりですか?」という質問を受けることがあります。
 私たちからすると、「どうやって水槽を見ないで上って来れたんだろう?」とも思うのですが、館内の順路表示が目に入らなかったということなのでしょう。
 当館では展示場の順路を表わすために、主だった場所の床で次の展示に向って魚の群が泳いでいます。1階から2階への案内役としては、この魚の群れもありますし、かつては水族館部門の出口近くで、メカニマルのマネキガニが大きなハサミを振りながらメクアリウム(機械水族館)への順路を示していました。
 このマネキガニはドーム型のケースに入れたため、単なる順路表示としてだけでなく、メクアリウムへと続くイメージを作るシンボルとして効果的に働いていました。
 ところが、ズームアップ水族館用の機器が設置されることになって場所がなくなり、展示を中止していました。でも、見学される方の立場から展示場を見ると、この位置にも順路を示すマークが必要です。いろいろと考えた結果、マネキガニが壁に張り付いて再び皆さんを2階へとご案内することになりました。


『海のはくぶつかん』Vol.25, No.3, p.7(下) (所属・肩書は発行当時のもの)
  いしばし ただのぶ:学芸文化室博物課

最終更新日:1996-09-07(土)
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