■『海のはくぶつかん』1995年3月号

まだらとびえい(あれこれ)

大山 卓司 

マダラトビエイ  海洋水槽の中を飛ぶようにゆったりと泳ぐ、形の変わったエイ、マダラトビエイです。はるばる鹿児島県から活魚トラックで運ばれてきました。こんなに長い距離をトラックで運ぶのは今回が初めてだったので無事着くかどうか少し心配しながら送り出しました。約20時間後に清水で再会したときも水槽内を元気に泳いでいたので、すぐに海洋水槽に入れることにしました。
 マダラトビエイは、海中を潮の流れに乗って泳いでいて、エサを探す時だけ海底に降りて、貝やエビなど底性の生き物を食べます。たくさんの魚と同居する水槽内でエサを食べられるのでしょうか?ためしにエサを入れてみたところ、すぐに気がついてモグモグと食べ始めました。ただ、食べるのが遅いので、一つのエサを食べている間に残りを他の魚達に全部食べられてしまいます。エサの量を増やしたりもしたのですが、なかなか充分に食べられないようです。
 海洋水槽では、カツオやスマのために毎日2回エサを与えていますが、いつもお腹を空かせているマダラトビエイはこれに目を付けました。でも、マダラトビエイの口は海底付近のエサを食べるように付いているので、水面近くのエサを上手に口に入れることが出来ません。エサを食べようと必死になって暴れるので、カツオ達がエサに近づけません。今度はカツオ達の方が気がかりになってきました。そんな担当者の心配をよそに、マダラトビエイは元気です。


『海のはくぶつかん』Vol.25, No.2, p.7(上) (所属・肩書は発行当時のもの)
  おおやま たくじ:学芸文化室水族課

最終更新日:1996-09-07(土)
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