■『海のはくぶつかん』1995年1月号

陸に上がった調査船(あれこれ)

石橋 忠信 

東海大学丸二世  1994年夏、東海大学の新しい調査実習船「望星丸」が就航されました。それまでは、「東海大学丸二世(1968年就航)」と「望星丸二世(1978年就航)」が活躍していたのですが、さすがに船体や機材などの古さが目立つようになったため、新たに一隻の新造船として建造されたのでした。
 今までこれらの船では多くの学生が実習をし、社会に巣立っていきました。私たちの博物館でも、毎年のサマースクールにこれらの調査船を使い、参加した小学生たちと水温を測ったり、海の底のドロを調べたりしました。また、海洋教育講習会では、全国の理科の先生たちと伊豆七島の近くで観測をしたりと、いろいろな思い出があります。
 そんな二隻の調査船のうち、東海大学の設計で作られた最初の調査船、「東海大学丸二世」を陸上げして保存しようという考えが生まれました。そして、その場所として当館が選ばれ、近くの池に設置する作業が開始されました。この船は全長50m、総トン数700トンあまりのサイズで、調査船としてはそれほど大きな船ではないと思っていました。ところが、いざ陸に上がったところを見ると、これがものすごい大きさなのでした。ちょっと写真を見てもらえればわかると思いますが、左に見える博物館がとても小さく感じますね。
 この大きな船が海にあった時には、ポツンと浮いている感じがするのですから、その海の大きさを改めて思い知らされ、思わず感心してしまった一日でした。


『海のはくぶつかん』Vol.25, No.1, p.7(上) (所属・肩書は発行当時のもの)
  いしばし ただのぶ:学芸文化室博物課

最終更新日:1996-09-07(土)
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