『アフリカ・オセアニア博物館』
この博物館はパリ市街の東方、ヴァンセーヌの森の近くにあります(写真1)。館内に入ると正面にはインド風の大壁画があり、その周りにはアジアやアフリカの民俗資料が展示されていました。水族館は、この地下にありますが、何故このようなところに造られたのかは不明です。ただ、聞くところによると随分昔からあるということでした。
この水族館には、淡水魚ばかりでなく海水魚も数多く展示されていて、そのなかにはオウムガイも飼育展示されています。内陸地にあるパリでは、維持管理の大変さがうかがえます。館内は、上階の博物館に比べかなりの人で混雑しており、やはり生き物(魚)は根強い人気の一つなのでしょう。
水槽群が円形にならんでいる中央には地下2階分程の大きなくぼみがあり、そこには何故かワニが飼育されていました。まるでジャングルの一角を切り取って持ってきたような感じです。
『パリ自然史博物館』
市内にあるパリ植物園内の広い敷地には、熱帯植物園のほかにも動物園などの大きな建物が幾つかあります。そのなかの一つに自然史博物館があります。観光名所と違って、冬場という季節柄かこの公園を訪れる人はあまりいなく、時折、家族連れがのんびりと散歩しているくらいでした。
自然史博物館は長方形のとても大きな建物で、ひとたび館内に入って驚かされました。ここは、フロアー全体が動物骨格の標本で占められており、まさに脊椎動物の全身骨格のオンパレードです(写真2)。もっと驚くことには、壁面ケースにはそれらの動物の解剖液浸標本がズラリと並べられていて、その中には人の赤ちゃんの解剖液浸もあります。正直なところあまり気持ちの良いものではありませんでした。
その上の階には古生物化石が展示されていて、恐竜骨格も数多くあります。そのなかには、当館に隣接した自然史博物館にも展示してある全長27mのディプロドクスの骨格標本もありました。
私たちは、今回初めてヨーロッパを訪れたわけですが、どこへ行っても日本人観光客の多さに驚かされます。世界的な不景気のなかで海外旅行にいそしむ我々日本人は、豊かな生活を持つ民族だとあらためて感じました。
『海のはくぶつかん』Vol.24, No.5, p.6 (所属・肩書は発行当時のもの)