■『海のはくぶつかん』1994年1月号

マハゼ(あれこれ)

鈴木 宏易 

写真  ハゼの仲間は大変種類が多く、日本近海だけでも200種を超えるほどです。その中で最も身近で、よく知られているのがマハゼだと思います。マハゼは、釣りの対象として大変人気のある魚です。ハゼ釣りは、秋から冬にかけてがシーズンです。この頃には、その年の春産まれたマハゼの子供達が10cm位に成長しています。そして、日曜祭日ともなると河口付近は、たくさんの釣りファンでにぎわいます。
 ハゼ釣りがこれほど庶民的になったのはなぜでしょうか。マハゼの生態と関係がありそうです。
 マハゼは日本各地の河口付近や内湾部に生息して、岸近くでも見ることができます。また、特に神経質な魚ではないので、餌とみればすぐに食らいついてきます。ですから高価な釣具や特別な技術など無くても、誰にでも簡単に釣ることができるのです。
 当館でも、この時期になるとマハゼの釣り採集に出かけます。簡単な釣具と容器を持って、近くの船着場に行って釣り糸をたらします。釣り場は、水深50cmくらいの所ですから、マハゼが餌に食らいつくのを見ながら釣りをします。マハゼは一気に餌を飲み込むので、まず釣り落とすことはありませんが、たとえ釣り落としたとしても大胆な性格ですからまたすぐに飛びついてきます。
 博物館では、壁を岸壁に見立ててディスプレイした水槽を作りました。採集したマハゼは、その水槽に展示したいと思っています。


『海のはくぶつかん』Vol.24, No.1, p.7(上) (所属・肩書は発行当時のもの)
  すずき ひろやす:学芸文化室水族課

最終更新日:1996-11-05(火)
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