■『海のはくぶつかん』1993年5月号

3Dハイビジョンシアター開設一周年記念写真展
『マンタウェイの主役−そのプロフィール』

柴田 勝重 

 世界に先がけて当館に登場した3Dハイビジョンシアターは、オープン以来13万人余りの入場者を得て、この3月15日に1周年を迎えました。
 そこで、この3Dハイビジョンシアターの映像ソフト「マンタウェイ」に登場するマンタ(オニイトマキエイ)の細かな行動や生活の様子を紹介した写真展、「マンタウエイの主役−そのプロフィール」を3月20日(土)〜5月31日(月)までの期間、2階マリンサイエンスホールの企画展示スペースで開催しています。

 展示した写真は、東洋のガラパゴスといわれる沖縄・西表島と小浜島の間にあるヨナラ水道を中心に、マンタの生態を観察し続けている伊藤隆さんが撮影したものです。
 マンタは腹にあるアザのような模様が1ぴき1ぴき違うため個体識別が可能です。伊藤さんは例えば、胸に1つ、腹に3つ、尻に2つのアザがあるのを「イチサンニ」、腹一面にソバカスのように黒点が広がっているものを「ソバカス」、腹全体が真っ黒なものを「ブラック」というように、アザの模様の配列や形からそれぞれに愛称をつけ、この海域にやってくるマンタの数をチェックしています。
 伊藤さんの19年余りの調査で、現在までに80ぴきのマンタがこの海域で確認されています。
 写真展では、小浜島周辺海域で見られるマンタが十数ひき紹介され、伊藤さんが付けた固体識別名を参考にしながらマンタの名前当てウォッチングが楽しめます。
 そのほかに、雌と雄の出会い、求愛、妊娠。さらに、大きな口を開けて主食のプランクトンを水ごと口に入れる捕食シーン。煙幕のようにフンをはきだしたところや、腸を肛門から外に出して水洗でもしているような変わった動作など、3Dハイビジョンシアターとは、ひと味違った角度からマンタの素顔にせまりました。


 また、最近流行のランダム・ドット・ステレオグラム(モザイクの中から文字や図形が浮き上がって見える立体画)で作った飛び出すマンタ、ヒトデ、タツノオトシゴも展示しています。3Dハイビジョンシアターでは専用のメガネが必要ですが、この写真展会場の立体画はメガネの必要はありません。絵に目を近づけて、焦点を合わせずに、ボーッと見るとモザイク模様の絵の中にマンタが飛び出して見えますよ。
 さあ、あなたもこの会場で挑戦して見ませんか。


『海のはくぶつかん』Vol.23, No.3, p.6 (所属・肩書は発行当時のもの)
  しばた かつしげ:総合業務室企画広報課

最終更新日:1997-03-17(月)
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