■『海のはくぶつかん』1993年3月号

潜水艇模型を手作りで展示(あれこれ)

石橋 忠信 

写真  当館2階、マリンサイエンスホールの展示に 「海洋観測の始まり」という年表があります。一般的に年表は字が多いため、あまり皆さんの印象に残らないようです。しかし、展示物を説明する時には歴史を省略できないことも多く、楽しく読んでもらうための工夫も私たちの仕事の一つです。
 この展示では年表に変化を付けようと、項目やイラストをアクリル板に印刷し、重ね合わせるように並べてみました。平面的な年表よりは目を引くようになりましたが、できれば観測船などは立体的な展示にしたいと考え続けていました。
 そんな時に、年表に出てくる潜水艇の模型を手に入れたのですが、中には展示に使えない物もあります。そこで、材質を変えて作り直したり、手元の資料をもとに色を塗ったりしたところ、縮尺の都合で細部は省略されていますが、小型ながらも正確な模型になりました。
 ところが年表のある通路が狭く、見る人が多くなると逆に混雑しそうです。そこで、場所を海底をテーマにした「未来の海」の横に移し、潜水艇がある雰囲気だけでも楽しんでもらおうと、職員たちで展示することにしました。
 ここには、1953年の「バチスカーフFNRS3」から1989年の「しんかい6500」まで、手作りのかわいい潜水艇が6隻取り付けられています。
 皆さんが年表などでこれらの潜水艇の名前を見つけた時、この展示を思い出しながら実際に活躍している姿を想像してください。


『海のはくぶつかん』Vol.23, No.2, p.7(上) (所属・肩書は発行当時のもの)
  いしばし ただのぶ:学芸文化室博物課

最終更新日:1997-04-19(土)
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