2000年4月2日(日)、ラブカの生きた卵を入手しました。
当館では魚類の収集のために、地元の漁師さんに協力してもらい、珍しい魚が入った時点で連絡してもらう事になっています。 今回は4月2日、焼津市小川港沖400m、水深60mにある長谷川漁業践団の定置網に、とても元気の良いラブカが1匹かかっていた(06:30)ので持ち帰ったと連絡がありました。 このラブカは、体長が165cmのメスでした。スタッフが駆け付けた時にはかなり弱っていましたが、胎内に卵があれば卵はそのまま育てられるかも知れないため、氷づけにして博物館に運びました。 解剖してみると受精卵が8個あり、そのうち4個は殻がつぶれて死んでいました。残りの4個からは、うすい殻をとおして胎仔(たいし)が見えたため、水温を12℃に調整した水槽に移して様子をみていたところ、1時間ほどすると胎仔が動き出し生きていることが確認できました。 ラブカの受精卵が生きたまま手に入ることは珍らしく、当館でも12年前に一度あっただけで、国内では他に例がありません。卵は惰円形をしていて、長い方(長径)が10cm、短かい方(短径)が6.5cm、中に見える胎仔は5cmくらいの大きさでした。 当館では、この春に卵に関する特別展を予定していましたから、この生きている卵は思わぬ重要資料ということになりました。 特別展の展示でもラブカの卵は計画していましたが、ホルマリンに漬けた標本を展示する予定でいました。しかし、生きている卵を飼育展示するとなると、単なる台を用意するだけでは実現できませんから、スタッフは皆さんに動いているラブカの赤ちゃんを見ていただこうと大あわてで準備しています。このページの写真は今回収集したものではありません。
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