サイの仲間は奇蹄目に分類されますが、それは奇数(三本)の指が蹄である動物ということです。
もともとは葉食(木の葉などを食べる)でしたが、第三期後半の中新世(2000万年前)になると、草原が広がったことと、偶蹄類(ウシやシカ)の進出によって生活の場が変化したために、草原に暮らし草を食べるサイが登場しました。
その中の一つにキロテリウムがいます。キロテリウムは中新世終わりから鮮新世(1000万〜200万年前)にかけてユーラシアの草原に暮らしたサイです。下アゴの切歯が大きく前に突き出しているのが特徴で、地中の植物を掘り起こして食べていたのではないかと考えられています。
キロテリウムは、角という武器を持たず、そのかわりに敵から逃れるくらい速く走ることができたと考えられています。
日本列島にも生息し、岐阜県の瑞浪市の中新世の地層からキロテリウムの化石が発見されています。
現生のサイは、四種類(インドサイ・クロサイ・スマトラサイ・シロサイ)で潅木や葉、果実を食べる葉食性のものと、草を食べる草食性のものがいます。夜行性で、森林の湿地や水辺を好み、目がよくないかわりに嗅覚と聴覚が発達しています。重々しい体格にも関らず、駆け出すと意外に速く走ることができます。
最近は、漢方薬やアラブの短剣の柄の材料となる角を取るための密猟や生息地の開発によって、絶滅が心配されています。
『ふれあいBOX』1996年6月号 (所属・肩書は発行当時のもの)