■『ふれあいBOX』1995年9月号

地球プレイバック 「よみがえる恐竜たち」10

本家にもない全身骨格の トリケラトプス

柴 正博

 今年の3月、東海大学自然史博物館に最も人気の高い恐竜のひとつ、トリケラトプスの全身骨格標本が展示されました。
 以前から頭骨標本は展示されていたのですが、大きさを実感していただくためにもぜひ全身骨格標本を展示したいと考えていました。
 当館の頭骨標本をはじめ、日本の博物館のトリケラトプスはアメリカ自然史博物館の標本の複製です。ところが最近は複製標本を簡単に作らせてもらえません。
 そんな時、ロサンゼルス郡立自然史博物館が許可がおりました。
 この博物館では、アメリカ・モンタナ州にある白亜紀の終わりに堆積したヘルクリーク層と呼ばれる泥岩層から発掘したトリケラトプスの化石が収蔵されていましたが、頭骨の標本だけしか展示していませんでした。
 したがって、当自然史博物館が復元した全身骨格標本は、本家にもない世界唯一のものなのです。
 トリケラトプスは、その名(ラテン語で3本の角のある顔)の通り、3本の角と頭の後ろの襟飾りのような骨が特徴の草食恐竜です。
 トリケラトプスの口は先がとがったクチバシになっています。口の奥の方には鋭くて細い歯がたくさんついていて固い植物も切り刻むことができます。
 トリケラトプスの生息していた時代は、地上最強の肉食恐竜といわれるティラノサウルスが生息していました。
 トリケラトプスは大きな群れを作って生活し、角竜の中では最大の体長9mの巨体と3本の角、そして襟飾りのような骨で肉食恐竜からの攻撃を積極的に防御したと考えられています。
 さすがのティラノサウルスにとっても手ごわい相手だったのではないでしょうか。
 東海大学自然史博物館のトリケラトプスは他の博物館の標本とは少し形が異なります。襟飾りのフリルの形、面長な大きな顔、真っ直伸びた前足など・・・・・・。
 機会があったら、他の標本と見比べてみてください。


『ふれあいBOX』1995年9月号 (所属・肩書は発行当時のもの)
  しば まさひろ:学芸文化室博物課

最終更新日:1996-05-17(金)
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