モンゴルや中国の白亜紀の地層から発見されるプロバクトロサウルスは、イグアノドンの仲間に属します。しかし、形は白亜紀の終わりに発展するくちばしの平らなカモハシ恐竜に似ています。このことから、プロパクトロサウルスは、カモハシ恐竜の祖先ではないかと考えられています。プロバクトロサウルスの名前は、バクトロサウルスというやはりモンゴルで発見されたカモハシ恐竜のプロ(以前)の種類という意味です。プロバクトロサウルスは、他のイグアノドンの仲間のうちでも下半身に対して上半身が小振りです。ですから、全身ががっしりとして動きの鈍そうなイグアノドンにくらべて、プロバクトロサウルスは強くてがっしりした下半身を生かして全体には軽やかにすばやく走ったり動くことができたと考えられます。
プロバクトロサウルスのあごと頭はそれほど大きくありません。しかし幅広い鼻ずらとくちばし、それと上下のあごには植物食特有の多数の歯がまっすぐに並でいて、かたい葉でもあまりかまわずにたくさん食べていたと考えられます。
プロバクトロサウルスの前肢の指は4本でイグアノドンのように尖ったスパイクのような親指をもっていません。そのかわり4つの指の先の骨は蹄のように偏平になっています。この偏平な指の先は、一見して水掻きのように見え、この動物が泳ぐことになれていたかのようにも思われます。
イグアノドンの化石は、数10頭分の全身骨格が当時の土石流の堆積物の中から発見されたように、しばしば大量に発見されます。また、足跡もよく発見されていて、中にはほぼ同時に同じ方向に進んでいるものもあります。また低地や湿地、河口のようなところにたまった地層からよく発見されます。これらのことから、イグアノドンの恐竜の仲間は、群れで生活していたと考えられます。
イグアノドンのように尖った指を持っていないプロバクトロサウルスは、すばやく逃げることや、水の中に入って泳いで逃げることによって、アロサウルスなどの肉食恐竜から身を守っていたのではないでしょうか。
『ふれあいBOX』1995年7月号 (所属・肩書は発行当時のもの)