一九世紀末から二〇世紀前半にかけて、アメリカのコロラド州やユタ州のジュラ紀後期の地層から、カマラサウルスやディプロドクスなどたくさんの竜脚類の骨格化石が発見されました。その中には、全身の骨格がほとんど残っている標本もあり、カマラサウルスの骨格の全容がわかってきました。
カマラサウルスは、ディプロドクスに比べて首も尾も短く、体に厚みがあるため、全体としてづんぐりとしています。前肢と後肢の長さはほぼ同じで、腰の高さと肩の高さがほぼ同じか肩の方が高く、このためどちらかというとブラキオサウルスを小さくした体型に似ています。
カマラサウルスの頭骨の特徴をディプロドクスのそれと比較しながら話を進めていきます。
ディプロドクスの頭骨に比べると、カマラサウルスのそれは奥行きがあって、鼻づらがとても短く、あごががっしりとしています。そして、そのあごにはのみのような頑丈な歯があごの先端だけでなくあごの両側まで並んでいます。ディプロドクスのあごは貧弱で、歯もそれほど大きくなく、あごの先端だけについています。
鼻の孔はディプロドクスのように頭のてっぺんではなく、両眼の間のすぐ前方にあって非常に大きいのが特徴です。
頭骨はその重さを軽くするために、あごと背面をもぞいて大きな孔で占められています。これらのことから、カマラサウルスはディプロドクスなどに比べて歯やあごが強く、たくさんの植物を食べていたと考えられます。
また、首の骨の構造も他の竜脚類とは違って、強い筋肉がついていたと考えられ、しなやかにしかし力強く首を動かせたと推定されています。脊椎骨も重さを軽くするため、その名の由来となった空洞があるなど特徴がみられます。尾の骨は、ディプロドクスが73個もあるのに対して53個と少なく、ディプロドクス特有のムチのような部分がない短い尾だったと思われます。
巨大な竜脚類はジュラ紀後期に栄え、白亜紀前期までにはほとんどが絶滅してしまいますが、やや小型であごと歯の強かったカマラサウルスの仲間のいくつかは白亜紀後期まで生き延びました。
『ふれあいBOX』1995年3月号 (所属・肩書は発行当時のもの)