■『ふれあいBOX』1995年1月号

地球プレイバック 「よみがえる恐竜たち」5

食事のメニューは大型草食恐竜 アロサウルス

柴 正博

 アメリカのロッキー山系には、モリソン層というジュラ紀後期の地層が分布しています。
 モリソン層は、赤い色の砂岩や泥岩からなる陸にたまった地層で、その中にはソテツなどの植物化石とともに、ディプロドクスやステゴサウルス、アロサウルスなどの恐竜の骨の化石がたくさん発見されています。
 アロサウルスという名は、「別の恐竜」という意味で、同じ肉食恐竜のメガロサウルスと似ていますが、これよりもさらに大きくて、がっしりしています。アロサウルスの体長は11m、体重1〜2トンになると言われています。
 アロサウルスのように大型の肉食恐竜の歯は、ナイフのような形をしていて、その歯の縁には細かなギザギサがあります。この歯は、肉をそぎ取るのに適した形をしています。また、歯の並びは、長い直線状で、獲物に長い切り裂き傷を負わせるにはとても効果的です。
アロサウルスのあごの関節にはゆるみがあり、下あごが上あごの動きに対応して前後にすべり、獲物にかみついた時に切り裂き傷を大きくします。また、頭とあごの骨の接合にもゆるみがあり、肉をのみこむ時にあごが外側にひろがり、大きなものもひとのみにすることができます。
 アロサウルスの頭の骨には大きな穴がいくつも開いていて、これは頭の重さをできるだけ軽くして動きやすくするためのものです。また、鼻の上から目の上にかけて強い突起があり、頭の後ろ側は横に張り出して箱型をしています。これらの特徴は、強いあごの筋肉と首からの強い筋肉を支える役割をしています。
 アロサウルスは、タルボサウルスなどの白亜紀の肉食恐竜と比べると、腕(前肢)は意外と大きくて、その先の三本の指には大きなかぎ爪がついています。そして、それらの爪は内側の指ほど大きくなっています。強い腕と鋭い爪は、獲物との格闘や死体を切り裂いたりする時に役だったと思われます。
 おそらく、アロサウルスは、同じ地層から発見されるディプロドクスやステゴサウルスなどの植物食の恐竜を追って、獲物としていたことでしょう。


『ふれあいBOX』1995年1月号 (所属・肩書は発行当時のもの)
  しば まさひろ:学芸文化室博物課

最終更新日:1996-05-17(金)
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