ステゴサウルスの背中の板は何のためにあるのでしょうか。
かつてこの板は、肉食恐竜から身を守るための装甲板(盾)と言われていました。
スデゴサウルスより体高が高い肉食恐竜に襲われた時、背中の板と、尾についたトゲのような4本の骨とで、身を守ったと考えられたのです。
しかしそれだけの役割ではないことが近年の研究でわかってきました。
この板の表面をよくみると血管の通る筋があります。また、この板の断面を詳しくみると、血液をたくさん貯められることがわかりました。そこで、今ではこの背中の板は、体温を調節するためのものであると考えられています。
体温が上がりすぎると、この板はちょうど自動車のラジエターの役割をはたし、熱を発散して体温を下げます。また、体温が冷えたときには、ソーラーパネルのように太陽にかざして体温を上げます。
背中の板野並び方も、一列に並んでいた、二列に揃って並んでいたなど、さまざまに考えられてきましたが、完全な化石がみつかって、二列に互い違いに並んでいたことが、わかりました。この並び方だと、熱を吸収するにもまんべんなく太陽があたって効率がいいですよね。
さて、ステゴサウルスの全身骨格をよくみてみましょう。
前足は短く、ガッシリと体をささえています。そして後足が長く、それもフトモモの骨(太腿骨)がスネの骨(脛骨)より長いので、ステゴサウルスはあまり早く歩けなかったと考えられます。
頭は小さく、小さなアゴには植物食恐竜に特有の先割れスプーン状の歯はあるもも、小さくてかよわい感じがします。また、頭の位置が低いところにあるため、地面近くの背の低いシダやトクサなどをあまりかまずに食べていたと考えられています。
骨格から考えるとあまり敏捷な恐竜ではありませんが、弱肉強食の世界で、この仲間が世界に広く分布したということは、きっとジュラ紀の環境にうまく適合しながら効率よく生きたからではないでしょうか。
『ふれあいBOX』1994年9月号 (所属・肩書は発行当時のもの)