■『海のはくぶつかん』1995年1月号

かくれうお(あれこれ)

鈴木 宏易 

写真  私たちのように水族館で働いている人は、他の人に比べいろいろな魚を見ることができます。しかし、私たちでも特別な習性を持っている魚は、なかなか見ることができません。例えばカクレウオの仲間です。
 カクレウオの仲間は、他の生き物(ナマコ類等)の体内を隠れ家にして生活しているので、なかなか目にする機会はありません。今回私が見たカクレウオは、タマナマコを隠れ家にしていました。カクレウオは明るいうちはナマコの体内に隠れ、暗くなるとナマコの体から外に出てきて、小さなエビなどを食べると言われています。ですからカクレウオを見るには、夜間に観察するか、たくさんのナマコを解剖しなければなりません。私は偶然見ることができました。
 前号でも紹介しましたが昨年の夏、当館ではタッチングプールを設置しました。そのプールの中には、魚はもちろん、ヒトデ・ウニ・ナマコなども入れてありました。ある夏の暑い日、プールの中に見たことのない魚が泳いでいました。調べてみるとカクレウオです。
 私はうれしくなり、カクレウオがナマコの中に入るところが見たくて、さっそくナマコとカクレウオを一つの水槽に入れてみました。この写真はその時のもので、カクレウオがナマコの肛門を探しています。肛門を確認すると、尾の方よりナマコの中に入っていきました。まだそのナマコを飼育していますので、今度は出てくるところが見られればと思っています。


『海のはくぶつかん』Vol.25, No.1, p.7(下) (所属・肩書は発行当時のもの)
  すずき ひろやす:学芸文化室水族課

最終更新日:1996-09-07(土)
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